サンプラーは手に入れたか?もう買ったという奴、すごい行動力だ。まだという奴、キミはれっきとした日本人だな。でも悪いことじゃない。SUIより少し慎重だということだ。
今回は機材編(その1)だ。
HIP HOP談義によく出てくる機器の紹介だ。
今回もまたSUIの独断と偏見だけで選ばれた機器を紹介するが、友達の前で知ったような口をきくには十分な情報だ。「1歩リード」、生き残るための重要なファクターだよ。
その前に
What Is Sampler???だよな。
サンプラーというのは、「サンプル(音ネタ)」を自由自在に操る機械のことだ。シンセとの決定的な違いは、
自前で出力できる音を持たないことだ。 電源を入れれば音が出る???それはシンセだ。サンプラーはサンプルを呼び出すか、外部から入力したものを取り込まないと音は出ない。ま、普通に考えたら面倒だし、回りくどいしという印象だが、その自由度は計り知れない。自分だけのサウンドを目指すならサンプラーは絶対に必要だ。
サンプラーの起源については過去に触れている記事があるから、それを参考にしてくれ。SUIのように探すこと自体が面倒な馬鹿者は、
「Roger Linn」か
「Roger Nichols」で検索することをお勧めする。
さて、ひとくちにサンプラーと言っても、いろいろある。今だからこそ全部に触れたいところだが、それは某音楽誌の優秀な編集者にお任せしよう。ここではHIP HOPと長くつき合うなら、誰かしらが口にするだろう歴史的名機に触れようと思う。
☆AKAI Professional MPC3000
↑これは旧型のMPC3000

↑そしてこれはあまりの人気に応えてリリースとなった復刻版(Limited)
二機種の大きな違いはOSのバージョンだ。"LE"は復刻版だからといって「音がしょぼい」とかそういうスニーカーみたいな事はない。
この機器はすでに生産中止となっているため、中古でしか入手できない。完全動作品(ヤフオクなどでは"完動品"とか書かれている)であるのはもちろんだが、チェックすべきは、メモリーとOSのバージョンだ。最大メモリーは32MBだ。公式には16MBとされているが、開発者である
Roger Linn公認のもと、32MBへのアップデートが可能となっている。ちなみにOSのバージョンは3.11以上がおススメだ。このバージョンも、今とは違って「0.1」の違いで、恐ろしく使いづらかったりするので気をつけよう。
肝心な「出音」についてだが、とてもHIP HOPな音ということにしておく。サンプリングしてビートを組むだけで、恐ろしくHIP HOPになる。失礼を承知で挙げさせていただくとすれば、著名ビートメイカーでは、HASSY THE WANTED氏、DJ WATARAI氏、SWIZZ BEATZがそれに当たる。彼らの最近の作もまさにMPC3000の良いところが全面に押し出されたものと言えると思う。「良いところ」と書いたが、
要するにドラムだ。コレにしか出せないドラムサウンドがあって、それがHIP HOPとして「カッコいい」とされている事は間違いない。
☆E-Mu SP1200
かつてHIP HOPのサウンドを司るかのような存在感を放った名機も、いまやドラキュラの存在だ。まことしやかに語られる噂の数々。ファンには悪いがそれが今のSP1200だと思う。「音が太い」というが、個人的にはそんなに太くはないと思う。もちろん太いサウンドを捻出する方法はあるのだが、初心者にはお勧めできない。むしろ
「荒いサウンド」と理解しておく方が正しいのかもしれない。全てがザクザクしてくれるので、ヒステリックなまでに荒れたドラム・トラックが得られる。唯一無二の出音はMPC3000と同じで、コレにしか出せない音があるのも確かだ。
サンプリングできる秒数はステレオで10秒、さらに各パッドに割り当てられる音は2.5秒までとなっている。波形も目では確認できない。現代の楽器からは想像もつかないほどそのスペックは貧弱だ。しかしこの環境だからこそ編み出された
「チョップ&フリップ」というHIP HOP独特の演奏技法があることは覚えておこう。ちなみにこの技で有名なビート・メイカーはPete Rockだ。
実際、この製品が生産中止になってから随分経つため、状態が良い中古品も少ない。さらに修理も不可能に近い(出来るけど莫大な時間と費用がかかる)。SUIも2台所有しているが、一台は部品取り用だ。というわけで紹介しておいてなんだが、とてもじゃないけど初心者にはお勧めできない。
☆AKAI Professional MPC60
MPC3000よりも太古の昔に開発されたMPCだ。ココまで来るとあまり取り沙汰されないのだが、名機は名機。
「独特のよれ」という言葉は聞いた事があるかもしれない。これはMPCに搭載されているシーケンサー部が、指定したタイミングからほんの少しずれて発音されたりすることから起こるもので、かの
プリンスに、「もっとも人間的なグルーヴ」と言わしめたのは有名な話だ。
これとS1100(だったか?)のセット使いで有名なビート・メイカーは、DJ PREMIERだ。SHOWBIZ曰く、彼はいまだにこのセットらしく、これらが搭載している機能に満足しているとのことだった。
☆Ensoniq ASR-10といってもいろいろあって、

↑これはキーボードタイプ。

↑これはそのラックタイプ。
どちらがどうというわけではないが、この機種も根強いファンが多い。低域の濃密な感触と押し出しの強いサウンドはやはり魅力的だ。Timbalandも昔(つっても2〜3年前)は使ってたし、最も有名なユーザーはNeptunes(Pharrell Williamsが所属するプロデューサーユニット)だろうか?よくASRを叩いている姿がYouTubeに挙げられていたものだ。日本では水戸のGOCCI氏と弟のユニットApogee Motorsが有名だ。
ちょっと間違えやすいのが、

ASR-Xだ。
これはX=10とも解釈できるが、全くの別物なので注意しよう。Xがダメというわけではないが、そういう迷信めいた部分を多いに気にする輩がこういう間違いを起こすと、悲しい結果を導いてしまうので敢えて書かせていただく。
さて、最初に言った通りかなり独断と偏見が横行している。それは分かっているし、いまどきそんな迷信めいたうんちくが通用する音楽業界でもなかろう。だから真に受けていきなりMPC60とか買うなよ。君たちは初心者だ。ここに上がっている機器を買い求めるのは、トラック・メイクだけで飯が食えるようになってからでも遅くはない。
ただ歴史は大事だ。知っておいて損は無い。ココに書かれているのはただのうんちくだから読んでも「知識」くらいにしかならないが、ここから試行錯誤を積み重ね、自らの「知恵」とするのは君たちの仕事だ。あとは勝手にやってくれ(-_-)/